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今日の固体電池:全固体と半固体、なぜ業界で同じ言葉が使われるのか

今日の固体電池:全固体と半固体、なぜ業界で同じ言葉が使われるのか

固体電池(Solid-State Battery/SSB)は、 エネルギー貯蔵分野で最も話題になっている進展の一つであり、電池の設計と使用法を再構築する可能性を秘めています。 現時点では、「固体電池」であることを公式に証明する単一の認証制度も存在しないのが実情です。本記事では、2025年時点の固体電池の技術状況、用語が曖昧に使われている理由、そしてそれがRenogyの今後にとって何を意味するのかを、できるだけ分かりやすく解説します。 業界状況:今日の市場における「固体電池」の意味 最もシンプルな定義 「固体電池」を理解するためには、まず一般的なリチウムイオン電池の仕組みを知る必要があります。従来のリチウムイオン電池は、負極・正極・セパレーター・電解質(通常は液体)で構成されています。充電時には、リチウムイオンが液体電解質とセパレーターを通って正極から負極へ移動し、放電時にはその逆の動きをします。 これに対し、「固体電池」とは、従来の液体電解質を固体、または半固体の材料に置き換えた電池の総称です。 2025年時点での現実 現在「固体電池」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、電解質に一切の液体を含まない全固体電池(All-Solid-State Battery/ASSB)でしょう。これは業界における“理想形”とも言える存在です。 しかし、この理想と現実の間には大きな隔たりがあります。この違いを理解することが、過度な期待や誤解を避けるうえで重要です。 まず、真の全固体電池は、依然として研究開発段階にあります。電気自動車(EV)、ウェアラブル機器、大規模蓄電用途などにおいて、広く商用化された例はまだありません。pv magazine の Marija Maisch 氏によると、トヨタや日産といった主要メーカーも、2025年時点ではパイロット生産段階にとどまっており、本格的な量産は2030年以降と見込まれています。分野の先行企業であるSolid Powerでさえ、量産開始は2026年後半以降としています。 その結果、現在市場に出回っている「固体電池」の多くは、実際には半固体電池(Semi-Solid-State Battery)です。中国のEVメーカーの動向がその代表例です。たとえば、NIOは2024年6月に、液体と固体電解質を併用した150kWhの半固体電池を搭載するET7を発売しました。推定航続距離は981kmに達します。また、SAIC MotorのMG4も、QingTao Energy製の半固体電池を採用しています。この技術により、釘刺し試験でも発煙や発火を起こさず、自然発火のリスクを大きく低減しています。 さらに、固体電池の実現に向けた技術的アプローチは一つではありません。QuantumScapeのように、貫通時にも溶融しない酸化物セラミック電解質を採用し、熱暴走の連鎖を防ぐ企業もあれば、CATLのように酸化物や硫化物など複数の材料系を並行して研究する企業もあります。 また、電解質だけでなく、正極・負極材料の革新からアプローチする動きもあります。米国のSolid Powerは、高シリコン負極によって充電性能や低温特性の向上を図る一方、将来的にはリチウム金属負極の採用により、エネルギー密度の大幅な向上を目指しています。 なぜ「固体」と「半固体」が一括りで語られるのか このような研究開発と市場の現実を踏まえると、「固体電池」という言葉が業界やメディアで包括的に使われている理由が見えてきます。主な理由は二つあります。 理由1:技術ルートの多様化 現在、企業や研究機関はそれぞれの専門性や市場戦略に応じて、非常に異なる技術的アプローチを追求しています。例えば、固体電解質には硫化物系や酸化物系などがあり、これを様々な負極・正極材料と組み合わせることで、多様な構成が生まれます。さらに、業界内では「固体」の定義に関する共通認識がまだ存在しません。ある企業は液体含有量が10重量%以下であれば「固体電池」と呼ぶ一方で、完全に液体を含まないことを条件とする企業もあります。このように技術的経路が多岐にわたるため、統一的な仕様や認定を定めることが現時点では困難です。...